秋夜長あきのよのなが 夢語ゆめがたり






どの敵との闘いのあとだったろう。
初めて、瞬のその言葉を聞いたのは。

『綺麗ごとの夢だと思う? ねえ、そうなのかな?』
そう言って、瞬は、俺の前で一筋の涙を流した。

あの時から俺は、おかしな夢を抱くようになった。
それは本当に馬鹿げた夢で──たとえ、どれほど強く望み願っても決して叶わない夢だ。

その時、俺は、瞬の母親になりたい──と思ったんだ。






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