「今夜は楽しかった。また半年後、かな?」
「また半年分歳をとって、おまえらに会うのか」
「星矢は、とても素敵なロマンスグレイになったと思うけど」
「俺は?」
「紫龍は昔から落ち着いてたから……」
「時々、ありえない切れ方をしたがな」

瞬が仲間たちに告げる、しばしの別れの辞を、脇から氷河が茶化す。
茶化された紫龍は、苦笑だけを彼等に返した。

星矢や紫龍は既に、その肉体に、トラブルの起きている現地に赴き活動できるだけの機動力や体力を有してはいなかった。
彼等は人間だったので。
歳を経た彼等の姿は、だが、それもまた幸福で充実したものではあったが。

そんな仲間たちと対峙していても、氷河と瞬は、自らの身体が歳をとらないことを不自然だとは思っていないようだった。
そして、彼等がその事実を不自然と感じていないことを、星矢と紫龍もまた不自然だとは思わなかった。

彼等は心だけで生きているのだ。
いつまでも老いることなく瑞々みずみずしい その心だけで。






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