俺はその朝、世界でいちばん幸福な男のはずだった。 初めて瞬に出会った日から苦節○年、気の利かないオトナ共の都合のせいで数年間のブランクはあったものの、惚れに惚れ抜いた相手と、ついに初めての一夜を過ごすことができたんだから。 俺のこの感動と感激を真に理解できる者は、いったいこの世の中にどれだけいるものだろう。 尽きぬ好奇心と消えない夢を追い続けて、小さな自転車屋を世界的企業にまで成長させた本田宗一郎。 数々の失敗にもめげず、どこまでも起業家精神を貫き、夢を語り続け、小さな町工場を世界のソニーにまで育てあげた盛田昭夫。 彼等のように、大きな夢を叶えた男たちなら、今の俺の気持ちが少しは理解できるのかもしれない。 彼等と同じように、俺は俺の夢を叶えたのだから。 俺の夢は、ガキの頃から、『瞬のおムコさんになること ![]() |