Perseus






エチオピアの王妃カシオペアの傲慢は海神ポセイドンの怒りを買い、そのためエチオピアの国と国民の上には様々の災厄がふりかかることになった。
前触れもなく押し寄せてくる大津波は人家を押し流し、海獣ティアマトの襲撃によって多くの子供や家畜が命を落とした。

苦悩したエチオピア国王は神に救いを求め、神託は、度重なる災厄から逃れる方法を彼に告げる。
すなわち、王女アンドロメダを海獣の生け贄に捧げよ──と。
その神託を知ったエチオピアの国民はアンドロメダ姫を捕らえ、その両手に鎖をかけて海岸の大岩に縛りつけた。

罪のないアンドロメダ姫を助けようとする者は誰ひとりいない。
やがて海面が大きく波立ち、波間から巨大な海獣の姿が現われて、アンドロメダ姫の繋がれている海岸へと近付き始める。
王女アンドロメダが恐怖に勝る絶望の中で目を閉じようとしたその時。

翼のある馬に乗って空から舞いおりて来た青年が、今にも王女アンドロメダに襲いかかろうとしていた海獣ティアマトの前に立ちふさがったのである。
雲のように雪のように白い天馬ペガサスにまたがった青年ペルセウスによって、女怪メドゥーサの首を見せられた海獣ティアマトは瞬時に石と化し、そのまま海底深く沈んでいった。

王女アンドロメダの命は、颯爽と空を駆ける一人の青年によって絶望の淵から救われたのである。






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