「瞬、俺は思うんだが」
それまで静寂の法廷の壁際に避難していた紫龍が、瞬と氷河の18禁映像に眉をひそめつつ、初めて口を開く。
「なに?」
「氷河の罪を、これほど自信満々で裁けるということは、このルネという男、この罪を犯したことがないのではないのか」
いつのまにかちゃっかり復活し、紫龍同様 安全地帯に逃げ込んでいた星矢が、紫龍のその推察を聞いて、遠慮のない大声を静寂の法廷に響かせる。
「えっ、それって、こいつが ドー・・テー・・ってことかーっ !? 結構 歳食ってるおっさんみたいなのに〜っ !? 」
「うむ。これは、だからこそのヒステリー症状と見た。原因は欲求不満と、生きることを謳歌しまくっている おまえたちへの妬みだな」

こういうことには耳ざといらしい冥界の裁判官の端正な(はずの)顔が、ぴくぴくと血管を浮き上がらせるほどに歪み、痙攣し始める。
星矢と紫龍はどうやらルネの逆鱗に触れてしまったらしかった。

「やーかーまーしーいーっっ !!!! 」
静寂の法廷に、おそらくはこの法廷ができて以来のボリュームの私語雑音を、ルネは響かせた。
その声の大きさに、青銅聖闘士たちは光速の動きで自分の耳をふさぎ、己れの鼓膜の無事を守ったのである。
ルネの怒声は法廷内に反響し、たくさんの木霊を生み、長い残響を生成し――やがて、その場に元の静寂が戻ってきた。






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