「あ……ああ……!」
ヒョウガの愛撫に混乱させられながら、シュン自身、自分はなぜこんなことをしているのかと自身を疑っていたのである。
これまで自覚したことはなかったが、確かに自分は寂しい人間だったのだろうとは思う。
ヒョウガの出現によって、シュンはその事実を知らされた。
だが、その寂寥を埋めるために、突然こんな未知の行為に挑むことを考えるほど、自分は冒険家ではなかったはずだと、シュンは思っていた。
なぜ自分はこんなことをしているのか――シュンには、本当に自分がわからなかったのである。
だが、今は シュンは ヒョウガから離れたくなかったし、彼を放したくもなかった。

ただ温かいだけのものと信じていた人の肌がこれほど熱くなるものだったとは――。
初めて知るその事実は、シュンの心と身体に戸惑いと驚きを運んできた。
ヒョウガの手で触れられると、そこが熱を持つ。
熱いと感じるのは、それが自分の体温と異なるからで、自分とは別の人間に与えられる刺激だからである。
だというのに、触れ合ったその場所から二つの身体は溶け合おうとしている――。シュンにはそう感じられてならなかった。

自分はもしかしたら、もうずっと長い間、そうなることを望んでいたのかもしれない――と、シュンは思ったのである。
“ヒョウガ”と溶け合い、“ヒョウガ”そのものになること。
あの金色の髪をした優しい女性に愛されている“ヒョウガ”になることを、自分はずっと望み願っていたのかもしれない――と。
だとしたら、もっと触れ合い、もっと近付き、もっとヒョウガに溶けてしまいたい。
そう、シュンは思った。






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