奴隷に身体をくまなく愛撫されることに、シュンは屈辱を感じることはなかった。 ヒョウガの 肌を刺すような視線を感じるたびに羞恥は覚えたが、それはシュンの五感を高揚させるための刺激にしかならなかった。 互いに何も身にまとっていないのだから、自分だけが恥ずかしがるのはおかしなことだとシュンは思ったのだが、それはヒョウガの視線の持つ力が大きすぎるせいなのだと、シュンは一人納得していたのである。 ヒョウガはシュンのすべてを見たがった。 逆に、シュンは、終始固く目を閉じて、ヒョウガの腕や胸や脚の感触を、肌で感じようとした。 ヒョウガの視線が自分の内部にまで入り込もうとしていることに気付いた時には、さすがにシュンも怯えを隠せなかったが、シュンのその怯えを、ヒョウガは彼の唇と指先とで すぐに手なずけてしまったのである。 ヒョウガの前に身体を開かされ、その身にヒョウガを受け入れる。 “野蛮人”は、暗殺者の持つ剣などより はるかに強大な力で、シュンを刺し貫いた。 「あああああ……っ!」 あまりの痛みにシュンは悲鳴をあげ、ヒョウガの力から逃れようとしたのだが、シュンはそうすることはできなかった。 「俺は一生おまえの奴隷でいる。だから、我慢してくれ」 耳許でなだめるようにヒョウガに囁かれると、シュンは、彼を一生自分の側に置くことの代償としてなら、この痛みに耐えてもいいと思ったのである。 そう思った瞬間に――シュンは、ヒョウガを身の内に飲み込んでいることに異様な高ぶりを覚えた。 永遠にヒョウガをここに閉じ込めておけるのなら、そのためになら、何でもするし、何も恐くない。 そうするために――そうなることを意図して、シュンの身体は変化を始めた。 シュンの豹変に驚いたヒョウガが低く呻き、だが、その変化を喜ぶように、更にシュンの奥深くに入ってくる。 その時になって、シュンは初めて気付いたのである。 ヒョウガは彼の主人に支配されたがっているのだ――ということに。 ヒョウガは、そうなることを望んでいる。 ヒョウガのその願いは、シュンの希望と合致することだったので、シュンはいよいよ深く強く彼に絡みついていったのである。 その頃には、ヒョウガがシュンの中に打ち込む力は、シュンの身体の中に快感を生むだけのものになっていた。 そうして、やがてヒョウガは、その忠誠を誓うように、シュンの中に己れを吐き出したのである。 |