すまない。
面目ない。
面目なくて顔を合わせられないので、手紙を書く。
事態は既に収拾不可能なところまで来ているようだ。
昨日、老師から、結婚式用の羽織袴の調達を依頼する手紙が来た。
もはや、この騒乱は治まりそうにない。

この騒ぎを鎮められるのは、ハーデス以上に強大な力を持った新たな敵――たとえばゼウスとかクロノスとか、そんな前代未聞の最強の敵の出現を期待するしかないのではないかと思う。
人類抹殺を企む強大な敵たちとの闘いの方が、あの能天気な黄金聖闘士たちの馬鹿騒ぎに比べたら、はるかにましというものだ。

だが、もし――もし、その希望が叶わなかったら、俺たちが命を賭けて守り続けてきた この地上は、おまえの手紙にあった通り、瞬の怒りに触れて消滅するしかないだろう。

一輝の怒り、お祭り騒ぎにのけ者にされていた沙織さんの不機嫌。
それだけでも恐ろしい事態を招くこと必定なのに、そこに勝手に強姦魔の花嫁にされてしまった瞬の憤怒が加わった日にはもう……。
想像しただけで、俺は絶望的な気分になる。
俺の迂闊のせいで、この地球は滅びてしまうんだ。
すべては終わりだ。

俺は全人類に死して詫びるしかないのか。
しかし、それで許されるなら警察はいらないだろう。
あああああ、俺はどうすれバインダーッッ !!!!






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