瞬の予感は確かだった。 氷河は今 幸福ではないのではないかと、瞬が疑い始めるようになってからまもなく、氷河は沈痛な面持ちで瞬に告げてきたのである。 「俺はもう、ここに来ることができなくなるかもしれない」 「ど……どうして !? 」 瞬はもちろん、すぐに氷河を問い質した。 その声音には、少し非難の響きが混じっていたかもしれない。 しかし、それも致し方のないことである。 ここは“瞬”の望むことはすべて叶う世界だと、瞬に言ったのは氷河なのだ。 そして、瞬は、この世界で、これまで氷河以外の何ものをも心底から望まずにきたというのに。 氷河が存在しなかったら、この世界にどんな価値があるというのだろう。 争いがなく平和で穏やかなだけのこの世界に。 氷河は、瞬の悲痛な声以上につらそうな目をしていた。 彼は、感情を無理に打ち消したように抑揚のない声で、彼の言葉を続けた。 「俺がおまえを愛しているという自信がないから。今のおまえは、俺が好きになったおまえじゃない」 あまりに衝撃的な氷河のその言葉に絶句してしまった瞬に、最後の希望を託すように、氷河はあの問いをもう一度投げかけてきた。 |