シュンを怯えさせないために、その本性を隠してきたと、ヒョウガは言っていた。
ヒョウガの愛撫を受けながら、これほどの激情をこれまで隠しおおせていたヒョウガの意思の強さに、シュンは驚愕することになったのである。
それが愛撫と呼んでいいものなのかどうかすら、シュンにはよくわかっていなかったのだが。

ヒョウガの身体は、手も指も脚も、まるで炎のように熱く、それらのものに触れられるだけで、シュンは火傷を負った瞬間のような衝撃を、自らの皮膚に感じることになった。
四肢がばらばらにされているような錯覚を覚えるほど、ヒョウガの愛撫はシュンの身体のすべてに及んだ。
シュンはヒョウガに、その身体のあらゆるところを見詰められ、目で見ることのできない内側は その指で確かめられ、身悶えするほどの羞恥心に襲われ続けた。
ヒョウガの愛撫は、シュンの身体を小さな肉片に切り刻み、その一つ一つを丹念に調べあげ味わい尽くそうとするように濃密な愛撫だった。

自分の身体がヒョウガによって ばらばらにされていなかったことにシュンが気付いたのは、ヒョウガがその中に押し入ってきた時だった。
シュンは、元の身体のまま、ヒョウガと繋がっていた。

シュンの悲鳴をすら味わわずにはいられないと言うかのように、ヒョウガはシュンと繋がったまま、シュンの唇に彼の唇を重ねてきた。
その舌が、シュンの洩らす喘ぎや叫びをすべて舐めとっていく。
そうしている間にも、シュンの身体の中に捻じ込まれたものは更に奥へと進み、シュンはその無体な侵入に、息をすることさえ忘れていた。
最奥を極めると、今度は激しい抜き差しが始まる。

そうして、シュンはやがて、自分の身体を自分のものだと思うことができなくなってしまったのである。
ヒョウガが入ってくれば、それに絡みつき、彼が出ていこうとすれば、シュンの身体は悲鳴をあげて、彼を引きとめようとした。
この痛み以上の快楽など この世に存在するはずがないと確信するように、シュンの心と身体は歓喜の声をあげ続けた。

互いに幾度達し合ったのか わからないほど、シュンの身体はすっかり溶けて、ヒョウガの一部になってしまっていた。
二人が離れた時が永劫の別れの時だとわかっていたから、シュンはヒョウガを放すまいとして、彼にすがり続けた。






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