それ以来、僕は、何度も何度も長く苦しい昼を耐え、短い歓喜の夜を彼と共に過ごしています。 いつも一緒にいることはできないけれど、夜には彼は僕だけのものでいてくれるのだということが、今では確信できています。 昼の渇きは変わりませんが、不安を感じることはなくなりました。 苦しい昼を耐え切れば、夜と共にやってくる彼が、僕の忍耐を褒めてくれて、死にかけている僕に必ず彼の力を分け与えてくれることが、今では僕にはわかっています。 これが僕たちの恋のあり方として運命づけられたものなのだと思えば、僕は耐えられるんです。 僕に彼が必要なように、彼にも僕が必要なのだと疑いもなく信じられるほどに、僕たちは互いを互いに与え合いました。 ただ、今、僕の中には別の不安があるんです。 最近、僕は朝の訪れを苦しく感じるようになってきました。 朝の光がつらいんです。 朝の光の中では、僕の身体はまるで、まもなく死んでしまうことがわかっている老人のように重く、立ち上がることさえままなりません。 身体に力が入らず、食欲もありません。 あるのは、彼とキスをして、彼の唇と舌に潤されたいという欲望だけ。 彼の言葉、僕を抱きしめてくれるその腕、力強く脈打つ心臓、首、彼の血、彼の肌、彼の指。 彼のものなら何でも欲しい。 他には何もいらない。 僕はそういうものになってしまいました。 彼に抱きしめてもらえない昼の長さに、僕の身体は耐え切れなくなりつつあります。 もしかしたら僕はこのまま死んでしまうのではないかと、最近僕は、そんなことを考えるようになってしまいました。 でも、それが苦しいわけではないし、悲しいわけでもない。 僕が完全に彼だけのものになるという 彼の望みを叶えるためになら、このまま死んでしまってもいいと、僕は思っています。 おそらく――僕はまもなく完全に彼に支配されてしまうでしょう。 いいえ、彼の一部になってしまうと言った方が、より正しいのかもしれません。 そのまま僕の自我は消えてしまうのか、あるいは、彼と一つになることによって 新たな僕が生まれるのか、僕には僕の死が生むものが何であるのかが全くわかりません。 先生。 これは病気なのでしょうか? 四万十川先生は、ご高名な生理学者だと伺いました。 もし、このような症例を聞いたことがあり、回復の方法をご存じでしたら、どうか僕にご教示ください。 僕は、自分が死ぬことは恐くはありません。 ただ、僕の肉体が死んでしまうことによって、僕がもう二度と彼を受け入れてあげられなくなることが恐いんです。 僕が死んでしまったら、僕に受け入れられることを あんなにも喜んでくれている彼はどれほど悲しむことか。 その時の彼の様子を想像しただけで、僕の心臓は張り裂けてしまいそうになります。 長くなってしまい、申し訳ありません。 でも、もしこれが僕の懸念通りに何らかの病気なのであれば、報告は詳しい方がいいと思ったのです。 病気の相談事をしているのに、肝心のことを書き忘れていました。 僕は16歳になる男子で、2ヶ月前までは――彼と共に夜を過ごすようになるまでは、至って健康でした。 時々人に痩せていることを指摘されることはありましたが、それも病的なほどではなく、体力も運動能力も平均以上のものを持っていると自負していました。 わずか2ヶ月でのこの衰弱振りが、自分でも信じられないほどです。 こんなことを誰に相談したらいいのか迷いあぐね、先生におすがりすることにしました。 先生から、僕を安心させるための言葉を一言だけでも賜ることができましたら、これほどの喜びはありません。 どうぞ よろしくお願いいたします。 瞬 拝
|