俺が意識を取り戻した時、俺の傍らにはシュンが倒れていた。
カミュの作り出す絶対零度の凍気。その凍気を受けた俺が、いったいなぜ生きているのかが、俺にはすぐには わからなかった。
あの時――主のいない天秤宮で、カミュの凍気から解放された時と同じように。
だが、俺は、あの時よりはずっと早く、その答えを見付け出すことができた。
カミュの作り出す凍気から俺を蘇らせてくれる人間を、俺はただ一人しか知らない。

「瞬……瞬なのかっ !? 」
俺の瞬と同じ姿をした少年。
俺の傍らに倒れているシュンの身体を、俺は飛びつくようにして抱きかかえた。
シュンが――俺の瞬が――微かに瞼を開けて、俺の顔を見詰め、安堵したような微笑を浮かべる。
「氷河、おじさんになってる……」
「せめて お兄さんと言え!」

瞬は生きている。
俺の瞬は生きていたんだ!
俺の身体を凍てつかせていた凍気と争ったために冷え切っている瞬の身体を抱きしめて、俺は声にならない咆哮を辺りに響かせた。






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