俺はどうやら恋で死ねるタイプの男ではないらしい。 あるいは、ひどく諦めの悪い男だったらしい。 一世一代のプロポーズを断られ、この地球は滅亡したも同じ、このまま死んでしまっても構わないという気分でいたのに、その3日後にはもう、あの子に会いたいという思いが頭をもたげてきて、その思いは一向に収まる気配を見せなかった。 これは緊急事態だ。 このまま放っておくと、多分 俺は気が狂う。 未練がましい男と思われようが、不様な男と思われようが、そして、あの子に迷惑がられようが、あの子に連絡を入れて会ってもらおうと考え始め、だが、それで ますます あの子に嫌われることになったら、今度こそ 俺の地球は粉々に砕け散り、宇宙の藻屑となってしまうかもしれないと ためらい――俺が にっちもさっちも いかなくなっていた時。 前回の定例報告から1週間が経っていないのに、俺に沙織さんから呼び出しがかかった。 俺は あの子には会えずじまい。 俺の恋は、プラス方向にもマイナス方向にも進展しておらず、沙織さんに報告できるようなことなんて、何一つないというのに。 |