たとえば。 裏の畑でポチが鳴く。正直じいさん掘ったれば、大判小判がザクザクザクザク。 いじわるじいさん、ポチ借りて、裏の畑を掘ったれば、瓦や瀬戸かけ ガラガラガラガラ。 あるいは。 仙女が化けた醜い老婆に親切に水を飲ませてやった妹娘は、言葉を話すたびに 口から花や宝石が出てくるようになりました。 妹の幸運を妬み 真似をしようとした意地悪な姉娘は、仙女が化けた美しい貴婦人を それと気付かず冷淡に追い払ったので、言葉を話すたびに 口から毛虫や毒虫が飛び出てくるようになりました。 更にまた。 最も美しい鳥を 鳥の王様にすると言う神の許に、他の鳥の羽根で我が身を飾って出掛けていったカラスは、あさはかな虚飾を見破られ、仲間たちに嘲られることになりました。 そんなふうに。 正直な おじいさんは金銀財宝を手に入れるが、嘘つきな おじいさんは 散々な目に合う。 心優しい娘は 幸運に恵まれ、意地悪な娘は 不幸に見舞われる。 虚飾に走る者は、最後には その虚飾を見破られ、皆に嘲笑される――。 正直者や親切な人間は その報いを受けて幸福に、嘘つきや意地悪な人間は その報いを受けて不幸になる、いわゆる因果応報。 それが、誰にも曲げられない おとぎの国のルール。 これは、良いことをすれば良い報いを受け、悪いことをすれば悪い報いを受ける、そんな おとぎの国での昔々の お話です。 |