マンションの部屋のドアを閉じた途端、噛みつくようなキスをされた。
瞬は、半ば以上 本気で、自分は彼に その場で犯されてしまうのではないかと思ったのである。
それでも、一向に構わなかったのだが、氷河は瞬のベッドで それをしたかったらしい。
瞬を抱き上げた氷河は、瞬の住まいの間取りを心得ているように まっすぐに、瞬の寝室に向かった。
瞬の身体をベッドに横にしてから、瞬のネクタイを解き、ボタンを外しにかかり、だが、すべてを外し終える前に、氷河は瞬の身体に のしかかってきた。

なぜ こんなことになるのか、瞬には まるでわかっていなかった。
だが、こうならないのは不自然だとも思う。
瞬には、氷河が求めるものを拒むことはできなかった。
そして、すぐに、氷河が求めているものを、自分も求めていたことを知った。
大きく 激しい水の うねりに呑み込まれるように 氷河の熱に呑み込まれ、自分を失う代わりに、二人が一つである感覚に支配されるのが嬉しい。
自分が その感覚だけでできている 不思議な生き物であるような気がして、瞬は歓喜の声をあげた。






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