ある村に、羊飼いの男の子がいました。 羊飼いの お仕事は、毎日 ヒツジたちを野原に連れていって、草を食べているヒツジたちが どこかに迷い込んで いなくなったり、オオカミに襲われて食べられたりしないよう、番をしていることです。 ヒツジたちの番をしているだけの毎日に 退屈した男の子は、ある日、 「大変だ! オオカミが来たぞー!」 と、村中に響くような大声で叫んだのです。 その声を聞いた村人たちは、びっくり仰天。 自分の仕事を放り出して、男の子とヒツジたちを助けるために野原に駆けつけてきました。 けれど、オオカミはどこにもいません。 村人たちの慌てる様子を見て、男の子は大笑い。 オオカミが来たというのは、男の子の嘘だったのです。 翌日、羊飼いの男の子は また村中に響く大声をあげました。 「大変だ! オオカミが来たぞー!」 その声を聞きつけた村人たちは、また野原に駆けつけたのですけれど、やっぱりオオカミはどこにもいません。 嘘をついた男の子は、村人たちの様子を見て、またまた大笑い。 村人たちの慌てる様子がおかしくて、男の子は それから何度も同じ嘘をつき、村人たちは そのたび、男の子とヒツジたちを助けるために野原に駆けつけました。 そして、男の子の嘘に腹を立てながら、自分たちの仕事に戻っていったのです。 ある日、今度は本当にオオカミがやってきて、野原で草を食べていたヒツジたちを襲い始めました。 もちろん、男の子は大きな声で叫びましたよ。 「大変だ、大変だ! オオカミが来たぞー!」 けれども、村人たちは 知らんぷり。 どうせまた男の子の嘘だろうと思って、村人たちは誰も野原に駆けつけなかったのです。 そうして、男の子のヒツジたちはみんな オオカミに食べられてしまいました。 |