『まさか、仙台から一人で帰ってくるなんて……』
『ナターシャちゃんを 普通の家の子にするなんて、最初から無理なことだったのよ』
ナターシャは どこにいるの。
マーマと沙織さんの声が聞こえる。
パパもいる。
パパは自分に怒ってル。

『それがナターシャちゃんのためだと思ったんです。僕たちと一緒にいるのは危険だと……。ナターシャちゃんが 普通の幸せな大人になるには、こうするしかないと思ったんです。青葉さんなら、ナターシャちゃんの身体のことも わかってくれて――』
『子供だから……ナターシャは 俺たちのことなど すぐに忘れると思った。俺たちはナターシャのことを忘れられなくても、ナターシャは育ち盛りの子供で、毎日 新しい出来事に出会って、そうしているうちに、きっと俺たちのことなど――』
パパ、なに言ってるノ。
ナターシャが、パパとマーマのことを忘れるはずないヨ。
パパだって、パパのマーマのこと 忘れなかったデショ。
パパだって、子供だったノニ。

『忘れるはずがないわ。ナターシャちゃんも、あなたたちも』
沙織さんが、ナターシャの代わりに言ってくれた。
ソーダヨ。
ナターシャが、パパとマーマのこと 忘れるはずないヨ。
ナターシャは、絶対ニ忘れナイ――。






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