ナターシャのしあわせにっき






11月10日

ナターシャは、きょうから にっきをかきます。
ナターシャのしあわせにっきだよ。
ナターシャとパパのおうちにあそびにきたシュンちゃんに おしえてもらったから。
パパは、ナターシャをしあわせにするために、ナターシャのパパになったんだよって。
ナターシャのしあわせっていうのは、ナターシャが たのしくて うれしいことだって。

ナターシャは、パパといっしょで たのしくてうれしい。
シュンちゃんにそういったら、そのことをパパにおしえてあげてって。
そうすると、パパも たのしくてうれしくなるんだって。
ナターシャは、パパがしあわせだと、ナターシャもうれしくなる。
だから、ナターシャは、ナターシャが たのしくて うれしかったことをきろくしておくことにしました。
ナターシャのしあわせにっき。
それで、それをパパにぷれぜんとするの。

さいしょは、おえかきちょうにかこうとおもってたんだけど、ナターシャのけいかくをきいたシュンちゃんが、すてきなにっきちょうをかってきてくれた。
しろいおはなと うすいおれんじいろのレースのもようのひょうしで、かぎつきのにっきちょうだよ。
えもかけるの。かわいいの。
ナターシャは、ナターシャのしあわせにっきが いっぱいになったら、パパにぷれぜんとする。
パパはきっとうれしくて うれしくて うれしすぎて、なきながら おどっちゃうよって、シュンちゃんがいってた。
シュンちゃんは いつもほんとのことしかいわないから、パパはおおよろこびで、ほんとにおどっちゃうとおもう。

ナターシャは がんばるよ。
がんばって、はやく このにっきを いっぱいにします。


11月11日

しあわせにっきをかくのはたいへんだよ。
ナターシャはまいにちうれしくてたのしくて、しあわせすぎるんだよ。
パパがナターシャのためによういしてくれた おへやでねむるのがうれしい。おきるのも、うれしい。
ごはんがおいしいとうれしい。
パパがかっこよくてしあわせ。パパが こうえんであそんでくれてしあわせ。
シュンちゃんが24しょくのペンをかってきてくれて しあわせ。

これで、きょうのしあわせの じゅうぶんのいちくらい。
ぜんぶかいてたら、ナターシャは おやつをたべるじかんがなくなっちゃうよ。
どうしよう。


11月12日

シュンちゃんにそうだんしたら、そんなにしあわせがいっぱいあるなら、そのひ いちばんうれしかったことだけかくようにすればいいって。
ひとつだけじゃたりないなら、みっつまでって、きめればいいよって。
そうすれば、ナターシャは、おやつのじかんをなくさなくてもいい。
シュンちゃんは ほんとうにおりこうだよ。
パパも いつも そういってる。
ナターシャ、おおだすかりだよ。


11月13日

きょう、ナターシャがいちばんうれしかったのは、パパがナターシャを『せかいいち かわいい』って いってくれたこと。
あたらしくかってもらったコートより、おやつが まろんのロールケーキだったことより、パパの『かわいい』が、いちばん うれしい。
ナターシャ、ちょっとふしぎだよ。
まいにちいわれてるのに。

ナターシャがそういったら、シュンちゃんは、それはナターシャが とってもしあわせで、すごく めぐまれてるからだって、おしえてくれた。
おなかがへって しにそうな人は、『かわいい』っていわれるより、おにぎり一つ もらうほうがうれしいんだって。
ナターシャは しにそうなくらい、おなかぺこぺこじゃない。
でも、もし しにそうなくらい、おなかぺこぺこでも、ナターシャは パパに『かわいい』っていってもらうほうがいい。

ナターシャがシュンちゃんにそういったら、シュンちゃんは、ナターシャがそういったことを、パパにいって、そしたら、パパはナターシャをぎゅうってしてくれて、ナターシャはますます しあわせになった。
うふふ。
ナターシャ、とくしたよ。
シュンちゃん、ありがとう。






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