親父が瞬に心惹かれるのはわかる。
 瞬の眼差しはお袋にそっくりだ。お袋だけを思い続けてきた親父が、お袋の面影を瞬の上に見ることは止められないとも思う。

 でも、だからって、息子の親友を寝取る父親がどこにいる!? いったい、いつから、あの二人はそういう仲になってたんだ!? 親父は、自分が亡くなった妻を思い続けてるなんてことをめそめそ訴えて、瞬の同情を買ったのか? 瞬はどうして――どうして、俺の親父と寝るなんてことができたんだよ!

 瞬がお袋さんの再婚にショックを受けたのは知ってる。十年以上も前に死んだお袋を今も思い続けてる親父の純愛物語は、瞬には心地良く響いたろうし、親父に好意も持っただろう。

 親父は、でも、俺の親父で、瞬と同じ男で、しかも、瞬自身を愛しているわけじゃないんだぞ。そんなことくらい、瞬だってわかってるはずだ! それなのに…!






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