■  四番手 ニコル・アマルフィの場合


「結局、みんな玉砕か!」
アスランの失敗を、イザークは心のどこかで喜んでいるようだった。
それはそうだろう。
誰にもできないことは、エリートにもできなくて当然なのだから。

「ニコルが残っているぞ」
別にニコルの立場を考慮したわけでもないのだろうが、横からディアッカが口を挟んでくる。

「僕は別に隊長の風評なんか気にしてませんし、隊長の部下でいることに誇りを持っていますから」
ニコルの妙に明るく素直なその物言いが、アスランの敗退で気が収まりかけていたイザークの神経を微妙に刺激した。

「おまえが気にしなくても、俺が気にするんだよ! おまえは、俺たちが変態の部下でもいいっていうのかっ !? おまえには仲間意識ってものがないのか!」
「そんなことは言ってませんよ……!」

仲間意識、友情、思い遣り。
それは、直情径行・独断専行が得意技のイザークが、仲間たちの協調に最も気を配っているニコルに求めていいものではない。
イザークもそれは承知していた。

そして、これで万一、ニコルがクルーゼのマスクを外させることに成功したら、それはそれでマズい事態になることも、イザーク自身はわかっていたのだが、それでも彼は言わずにいられなかった。
それもこれも、彼のエリートとしてのプライドの為せる業である。
エリートというのは、あまり気楽な商売ではない。

とにもかくにもそういうわけで。
ニコルは、仲間(特にイザーク)の(プライドの)ために、クルーゼの許に赴かなければならなくなってしまったのである。






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