“最高のコーディネーター”は、クルーゼに何の答えを与えてはくれなかった。

彼が無力な存在だということは、始めからわかっていた。
彼はただ、何も考えずに──彼自身は考えていたつもりなのだとしても──ただ悩み苦しんでいるだけの非力な存在なのだ。

狂った敵の、悲しい理屈に、まともな反駁もできない哀れな子供。
それが、クルーゼの目の前にいる“最高のコーディネーター”だった。








「それでも! 守りたい世界があるんだ……っ!」

戦場に、非力で哀れな子供の悲鳴が響く。
今、彼に、その言葉を叫ばせている人間たちが、彼の辿り着いた“答え”なのだろう。

おそらく、それは真実で、そして、それが全てなのに違いなかった。


そして、クルーゼは、彼の“答え”の、花のように優しく静かな面差しを思い浮かべ、微笑した。






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