夏の鳥見はお山の近くで。
2008年7月
高原・山林・亜高山帯
7月26日・27日
26日晴れ/27日晴れ時々雨
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観察種
1 アオサギ
2 トビ
3 キジバト
4 カッコウ
5 ホトトギス
6 アマツバメ
7 コゲラ
8 ヒバリ
9 ツバメ
10 ビンズイ
11 ヒヨドリ
12 モズ
13 アカモズ
14 ミソサザイ
15 コルリ
16 ルリビタキ
17 ノビタキ
18 アカハラ
19 ウグイス
20 コヨシキリ
21 メボソムシクイ
22 セッカ
23 キビタキ
24 コガラ
25 ヒガラ
26 キバシリ
27 ホオジロ
28 ホオアカ
29 アオジ
30 カワラヒワ
31 ウソ
32 イカル
33 スズメ
34 カケス
35 ホシガラス


夜中の高速を、満ち足りた月を追いかけて向かった「花の高原」。満開の黄色い花はとても素晴らしく、爽やかな高原の夏は満喫できましたが、いつものように撮影は…。観光客でごった返す遊歩道での鳥見ですからしょうがないでしょう。なので、今週末は今がシーズンの高〜いお山とその下に広がる草原へ出かけてました。

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左/一面のキスゲ畑の向こうには八ヶ岳。上/今年は咲き方はイマイチだった。


夏の鳥見は、涼しいお山で。
ガソリン高騰の影響か、車の数が意外に少ない高速をゆっくりと流れる景色を楽しみながらドライブ。朝日が夏の山をうっすら赤く染めていました。山へ向かう分岐を過ぎてトンネルを抜けてると高見が雲の間から顔を見せてくれました。さて、中腹の森を目指しましょう。

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左/霧の中にたたずむビンズイ。

※写真をクリックすると拡大出来ます。

エアコンを切って窓を開ければ、道の両側に広がる緑の濃くなった森の中から、カラ類を中心としたかわいらしい声が沢山聞こえてきます。時々驚いて飛び去るアカハラの姿やギャーギャーと鳴くばかりでちっとも撮らせてくれないカケス、もの凄く近くで囀るのに姿が見られないコルリなどに足を止めながら、少しずつ高度を上げて行きます。やがて眼下に雲が見えてきました。

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左/1500mを超えると雲が下に見えた。上/雲に手が届きそうな程空が近くに感じる。

駐車スペースに車を止めて、少しだけ周囲を散策。聞こえてくる鳥の声の主を探してみましょう。朝日が差し込み始めた森、鳴き声のする方向に目を向け鳥を探してみます。

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左/ムーミン谷のニョロニョロのように白い筒が山肌に並んでいた。これは何?。上/真っ赤で可愛い小さないちごの実。

すると柔らかな口笛のような鳴き声が聞こえてきました。まず姿を見せてくれたのは目立たない色をしたウソの雌。木にぶら下がりながら芽を啄んでいます。その後ろには、頬の赤い雄の姿、雌と一緒に木の芽を食べていました。ウソの夫婦の姿が柔らかな口笛とともに森の中に消えると、今度はさっきより高い口笛の音が聞こえてきました。現れたのは可愛い目をしたルリビタキの巣立ちっ子親子。お母さん雌は忙しそうに餌を採っては子供に運んでいるようでした。

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左/夫婦で現れたウソの♂。

※写真をクリックすると拡大出来ます。

出てこないかなーと、目の前で鳴いているメボソムシクイを待っていると、賑やかな一団が通り過ぎていきました。カラ類の群れで、その中には少し黄色い色をした巣立ちっ子が沢山。ちょこちょこと元気よく飛び回る姿が可愛すぎます。結局メボソムシクイは出てきませんでした。

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左/針葉樹の森からは小鳥の声が絶え間なく聞こえてくる。上/遠くにアルプスの山々が見えた。

車に乗り込みもう少し先へ進みます。道路のすぐ脇の森からメボソムシクイの大きな声が聞こえています。ここならもしかするとその囀る姿が撮れるかもしれません。少し待ってみましょう。

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左/やっと撮れたメボソムシクイの囀。

※写真をクリックすると拡大出来ます。

囀る方向を眺めて暫く待っていると、森の中をちょこちょこ動く鳥の姿が見られます。メボソムシクイが鳴きながら枝を渡っています。辛抱して様子を見ていると、時々森の淵の枝に出てきて一頻り鳴いてくれます。その時を狙い撮影を繰り返しました。いつものようになかなか“希望の枝”には来てくれませんでしたが、今まで水場でしか撮れていなかった姿を捉えることが一応できました。さて、翌日は草原に行ってみましょう。

暑ーい草原でドライブ鳥見。
行く道では多少の雲が空に浮かび、撮影には良い高曇りが期待できたのですが、草原につくと太陽は輝き夏そのもの。日陰で風が吹けば涼しいのでしょうが、今日は無風に近く陽が当たる車内では窓が開いていても数分と我慢できません。おまけに少しでもスピードを上げればタイヤから土が舞い上がり、窓から土埃が入ってきます。仕方がないので窓を閉めてエアコンを入れて草原の道をドライブ鳥見です。

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左/暑い草原に鳥の姿は少ない。上/カワラナデシコの可憐な花。

しかし、鳥も暑いのか姿は疎ら。先週あれだけ鳴いていたホオアカやコヨシキリは少なく、ノビタキの親子が所々に姿を現すぐらい。花も今年は少なくキスゲの黄色はあまり目立ちません。午前中、気になる所を一周していつもの「吉田うどん」を食し次の草原に向かいました。

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左/キスゲに止まってくれたノビタキ♂。上/とにかく可愛いノビタキの巣立ちっ子

※写真をクリックすると拡大出来ます。

天気予報では曇りになるはずの空模様。でも太陽は元気にギラギラと輝き、草原を焦がしています。ムッとするほどの草の匂いのする車外にはとても出たくないので「車で鳥見」を続けます。牧草地の向こうでモズの鳴き声が聞こえました。緑の絨毯の遥か向こうにある森で鳥の姿が見えたような気がしますが、陽炎のユラユラでなんだかわかりません。その内鳴き声も途絶え、暑い日差しが照りつけるばかり。他をあたった方が良さそう。

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左/黄色いユウスゲの花。上/上の花は何という花?。

心当たりの場所を順番に廻り、赤い姿を探し続けていると、草むらの向こうからモズの声が聞こえてきました。双眼鏡で遠くの松の木を見てみると、お腹が白く赤茶色の背中をしたモズの姿を見つけました。ビンゴ!アカモズです。やっぱりこの辺りに今年もいてくれました。近くにはグレーの帽子の巣立ち雛もいるようです。しかしアカモズのいる場所までは遠く軽く70〜80mはありそうです。近くに来ないかなぁと待っていると、50m位先の木の梢に止まりました。まだまだ遠いいけれど、とりあえず証拠写真。雛もその木にやってきて餌を受け取る姿が見られました。

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左/もう少し近くに寄りたかったアカモズ。上/子育てで忙しいボサボサのノビタキ♀。

※写真をクリックすると拡大出来ます。

しかし遠い。アカモズはその木がお気に入りなのか、餌を採っては近くのブッシュに隠れる雛に餌を私、再びその木に戻ってきます。ならば、暑いけど我慢して外に出て近くに寄ってみよう、遅い決断かもしれませんが。

帽子にタオル、暑さ対策をして三脚にカメラをセット、膝上まで茂った草を掻き分けながらゆっくり進みます。見えない足下に、何かが潜んでいそうでちょっと怖い。アカモズの様子を気にしながら少しづつ近づいてはシャッターを押し30mまで近づけ、なんとかその姿を写すことが出来ました。

ススキの陰に隠れて様子をうかがっていると、アカモズは木から飛び立ち、私の頭の上を飛び越し餌を探して周囲を旋回、虫を見つけると猛スピードでアタック。上手く捉えるとお気に入りの先にある枯れた木の上で虫をさばき、雛に餌を与え、お気に入りの木の上に戻り休憩、を繰り返していました。

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左/シシウドは満開が近い。上/雷が鳴り激しい雨が降ってきた

雲も所々に出て、たまに日が陰り始めました。撮影には良い感じの光になってきたと、ススキに隠れてアカモズの撮影を続けていると、西の空が鉛色に変わってきました。ゴロゴロと雷の音も聞こえ始めやがてポツリポツリと雨粒が。仕方なく車に戻り激しく降り続く雨の中、アカモズのいる草原を後にしました。iモードで確認すると、急速に発展した雨雲がこの辺りに発生している様子、仕方がないので今日の鳥見はここまでにして帰路につきました。

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左/高速を降りると美しい夕焼け空が広がっていた。

2日間のお山での鳥見、涼しい山ではメボソムシクイの囀りに出会え、暑い草原ではアカモズに会うことが出来夏の鳥見を十分に楽しめました。しかし今年も暑い、まだまだ猛暑が続きそうです。これからの季節、暑い田んぼにも行かなくちゃ行けないし、熱中症には気をつけないと。さて、ご一読いただいた鳥見好きの皆様も、お身体を十分にご自愛の程、暑中お見舞い申し上げます。

 


 

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