01/12/24(月)   賢者たちの贈り物 Part1

「これが、こうして、こんな感じ・・・これが、こうして、こんな感じ・・・」

12/22(土)夜。
女子大生たちとの合コンを明日に控えた私は、鏡に向かって最後の練習に励んでいました。

「うーん、薄暗い店内でこの角度からなら似てなくもないかな。」

夏に入手したまま使うことのなかった「秘密兵器その1」と、今回の合コンの為に購入した「秘密兵器その2」。女子大生たちのウケを取るにはこれしかありません。

合コンに参加を決めたときから心配していたのは、私のような三十路半ばのおっさんが参加することで、場が気まずくなってしまう事でした。
いくらネタの為とはいえ、何も知らない若手後輩社員や女子大生たちの楽しい一時を邪魔するわけにはいきません。

一回り以上も歳が違う女子大生たちと、10歳近く歳の違う若手男性社員たちが相手では、話題がずれるのは必至。
私が流行に敏感で情報収集に励んでいたり、ロマンスグレーのおじさまだったり、この方のように巧みな話術でも持っているのなら話しは別ですが、紛れもなくオタでどちらかというと口下手な肥満体のおっさんにすぎません。

とりあえず、まずは「人の良いおっさん」として認識してもらい、それから「秘密兵器」を使ってウケを取る。これで何とか場を盛り上げられれば・・・。

私はパソコンの画面に向き直ると、何度目かのお祈りを捧げました。

「どうか三十路半ばのおっさんをお守り下さい。健さん。」




仕事が終わった午後6時、会社の前に集合した私と若手男性社員三人は、大いなる下心を胸に秘め、合コン会場に向かいました。

ご覧下さい!!


( ̄▽ ̄) ( ̄▽ ̄) ( ̄▽ ̄) ( ̄▽ ̄)


既に顔がにやついています。
下心丸見えです。
これでいきなり女子大生たちに逃げられたらどうするのでしょうか。

道すがら、ふと私は主催者である後輩Aに尋ねました。

「ところでさ、私が参加するって、彼女たちには伝えてあるの?」

「ええ、最初に伝えたメンバーと一名入れ替わると伝えてあります。ただ・・・」

「ただ?」

「年齢は伝えてませんけど。」

「・・・・・・・・・・なんで。」

「察してください。」

「・・・・・・・・・・悪かった。」




合コン会場である、会社から30分ほどの所にある小さなイタリア料理店に到着したとき、既に女子大生たちは席に着いていました。
当日キャンセルされるという悪夢は何とか免れたようです。やれやれ。

主催者の後輩Aが、大学の後輩たちであるという彼女たちを紹介してくれました。
以下、合コンで得た印象を含めて閲覧者の皆様にもご紹介。

亜衣さん(仮名)・・・四年生。はきはきとした強気な娘さん。ちょっと派手目(おぃ)
加奈さん(仮名)・・・三年生。亜衣さんと同居の友人。落ち着いたしっかりもの。
五月さん(仮名)・・・一年生。おとなしくて地味だけど(おぃ)、気配りのきく娘さん。
珠樹さん(仮名)・・・一年生。明るくておしゃべりなムードメーカー。巨乳(おぃ)

続いて我々の方も紹介。
こちらは簡単に。

主催者の後輩Aと、後輩B、後輩Cは同じ課の若手社員で、平均25歳。
そして溝口、三十路半ば。

ここで、女子大生たちに明らかに戸惑いの色が。

そりゃそうだよなあ(嘆息)。明らかに毛色の違うおっさんが一人混じっているんだもの。

店内はクリスマスを意識してか薄暗い照明でキャンドルが灯されています。
はっきりと顔は見えないはずですが、それでも分かっちゃいますか、流石に。

とりあえず見て見ぬ振りをして、お互いに挨拶と自己紹介。
そして、合コンの始まりです。



合コンが始まると、まず私は斜め前の亜衣さんに話しかけました。

「亜衣さん、就職活動大変でしょう。」

「はい、本当に。例えば・・・」

案の定、亜衣さんは話に乗ってきてくれました。
就職活動中に経験した嫌な出来事、苦労話など、かなりストレスが溜まっていたのか、色々と話してくれました。私としてもアドバイスできる点は真面目に答えるようにしました。
加奈さん、五月さん、珠樹さんも他人事ではないのでしょう。真剣に聞き入っています。

話しが一段落したころには、女子大生たちは私に対する戸惑いをすっかり無くしていました。
若者向けの話題に付いて行けないのは目に見えていますから、まずは年上としてしっかりした所を見せられる話題から入ったのですが、上手くいったようです。(姑息な三十路おやじ)

その後は、流れ的に我が社の仕事の話しに移り、やがてインターネットの話題に移りました。

いい感じです。
私は机の下で、こっそりとカバンから「秘密兵器」を取り出しました。

ああ、神様、どうか上手く行きますように・・・。


Part2に続く

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