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インド・旅
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カルト・ブームへの一見解

 

 カルトが時代のキーワードとなり、東洋思想をとりいれた新興宗教などが地道な拡がりをみせていますが、インド哲学に興味を持つ私は色々と感じることがあります。

 ヨーガなどの修行において、師(グル)への絶対的帰依は不可欠とされています。しかしそれは、どんな師にも盲目的に従うということではありません。ヨーガとは「調和・融合」という意味ですが、それは心と身体の調和であり、また自身と自然、社会、宇宙との調和です。その調和が得られないのなら、その師は間違っていると言えるでしょう。ときどき新聞などで、不祥事を起こした宗教団体のことが報じられます。そういった団体はその内部においては完全な王国であったのかもしれませんが、社会や家族との調和は果たして得られていたのだろうかと疑問に思います。

 社会との関係を絶って修行するのは現代人には不向きであると、現代の聖者たちも言っています。社会の中で、奉仕の気持ちで働くことによって無我に達する方法が、現代人に適した修行法であるといえます。これはいわゆるボランティア活動のことだけをいっているのではなく、どんな仕事でもそうです。

 人は社会の中で生きているのだから、社会を否定することはできません。調和を保ちながら、正すところは正し、生きてゆきたいものです。うまくいかないことも多いですが・・・。

 Hirano Ryoko Dec.1997