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ADI SHANKARA'S STOTRAMS


 シャンカラ(AD700頃〜750頃)

   ヴェーダーンタ派の大哲学者。ブラフマンはアートマンで
 あるとする不二一元論を樹立した。各地に僧院を建立、32
 歳で死去したといわれる。多くの著作・注釈を著したが、本
 当に彼の手によるものか不明のものも多い。
          次の韻文はその中のものである。原文はサンスクリット。

 

  ダシャシュローキー

  ドワーダシャ・マンジャリカー・ストートラム

  カウピーナパンチャカム 

 

    


 

ダシャシュローキー(10の詩節)         

 

1. 地でも水でもなく 火でも空気でも虚空でもない

   感覚器官でもなければ これらすべての集合体でもない

   これらは移ろいやすく はかないものだが

   自己は 熟睡状態によって証明されるように不変である

    私は唯一なるもの 自由にして幸いなるもの

    ただそれだけが 存在する

 

2. 階級制度でも人生規範でもなく 慣習でも法でもない

   集中 瞑想 ヨーガ その他の修行のどれも必要ない

   「私が」「私の」という観念は自己でないものから生じる

   その誤りは捨て去るべきである

    私は唯一なるもの 自由にして幸いなるもの

    ただそれだけが 存在する

 

3. 母でも父でもなく 神々でも世界でもない

   ヴェーダ聖典でも供儀でもなく 聖地でもない

   自己は熟睡状態でも存在し 無ではない

    私は唯一なるもの 自由にして幸いなるもの

    ただそれだけが 存在する

 

4. サーンキヤ学派 シヴァ派 パンチャラートラ派

   ジャイナ教 ミーマーンサー学派 その他どれも有効ではない

   特殊な認識法で 純粋な自己を知ることができる

    私は唯一なるもの 自由にして幸いなるもの

    ただそれだけが 存在する

 

5. 上でも下でもなく 中でも外でもない

  真ん中でも端でもなく 前でも後ろでもない

  自己は遍くゆきわたるひとつのもの

    私は唯一なるもの 自由にして幸いなるもの

    ただそれだけが 存在する

 

6. 白くも黒くも赤くも黄色くもない

   曲がってもいないし太ってもいない 短くも長くもない

   光がそうであるように 自己には形がない

    私は唯一なるもの 自由にして幸いなるもの

    ただそれだけが 存在する

 

7. 教師も聖典も存在しない 生徒も教えも存在しない

   あなたも私も存在しない この経験世界は存在しない

   真の自己の悟りに差別性はない

    私は唯一なるもの 自由にして幸いなるもの

    ただそれだけが 存在する

 

8. 覚醒状態も夢眠状態も熟睡状態もなく

   これらに支配されることもない

   これらは無明であり 無明を超えた第4の境地が真の自己である

    私は唯一なるもの 自由にして幸いなるもの

    ただそれだけが 存在する

 

9. 自己は遍在し 真理と一体であり 他に依らない

   実体のない現象界はすべて自己ではない

    私は唯一なるもの 自由にして幸いなるもの

    ただそれだけが 存在する

 

10.「唯一」という観念さえ生じない

   それ以外の「2つ目」が考えられようか

   絶対でも相対でもなく 無も有もない

   絶対不二一元を本質とする

   ならば すべてのウパニシャッドによって確立された「それ」を

   どうやって言い表すことができようか

 

 

  Translated by R. Hirano

 

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ドワーダシャ・マンジャリカー・ストートラム
(12本の花の讃歌)

 

1. 愚か者よ 富への渇望を捨てよ
   心に真理の智識と離欲を持て
   自身の行為による結果を あなたは得る
   それによって満足せよ

   ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ
   ゴーヴィンダを讃えまつれ 愚か者よ
   約束の時(死)が来たとき
   文法の暗唱などは救いとはならない

 

2. 女性の豊かな乳房や臍のあたりを見て
   妄想の命令に従ってはならない
   これらは肉や脂肪の変化したものにすぎないということを
   心の中でよく考えるべきである

   (ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ・・・)

 

3. 蓮の葉の上で 露はとても不安定に転がる
   同様に 人生も非常に不安定なものだ
   世界は病と高慢に飲み込まれ
   全てが悲しみに覆われていると知れ

   (ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ・・・)

 

4. 財を稼いでいる間は
   従者達はあなたを慕う
   老いて身体が衰えれば
   家の中の誰ひとり あなたをあてにはしない

   (ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ・・・)

 

5. 身体に息が宿っている間は
   家の者たちはあなたの財をあてにする
   息が身体を去り 身体が滅びれば
   妻さえも あなたの身体を恐れるのだ

   (ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ・・・)

 

6. 少年の時は 遊びに夢中になり
   若者になると 若い女性に夢中になる
   歳をとると 心配事で頭が一杯になる
   至高のブラフマンを慕う者は誰もいない

   (ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ・・・)

 

7. あなたの妻とは何か 息子とは何か
   サンサーラは 全く驚くべきものだ
   あなたは誰か 何に属するのか どこから来たのか
   兄弟たちよ ここでその真理について考えよ

   (ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ・・・)

 

8. 清き人々との交わりあるところに 離欲があり
   離欲あるところに 迷妄からの解放がある
   迷妄からの解放あるところに 不変の真理があり
   不変の真理あるところに 今生での解脱がある

   (ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ・・・)

 

9. 歳をとったら 愛欲や情念とは何であるか
   池の水が干上がったら 池とは何であるか
   財産がなくなったら 従者たちはどこへ行ってしまうか
   真理を知ったら サンサーラとは何であるか

   (ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ・・・)

 

10.富や人々や若さに対して 傲慢になってはならない
   時はこれらすべてを 瞬時に奪い去る
   これらはすべて マーヤーから成るものと知り
   ブラフマンの境地を悟り その中に入滅せよ

   (ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ・・・)

 

11.昼と夜 夕暮れと夜明け
   冬と春 繰り返し訪れる
   時は戯れ 命は過ぎ行く
   それでもなお 欲望の風は消えない

   (ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ・・・)

 

12.あなたの妻とは何か 財欲や心配とは何か
   狂える者よ あなたを導く”かの者”はいないのか
   三界において 清き人々との交わりのみが
   生死の海を渡るための舟である 

   (ゴーヴィンダを讃えまつれ ゴーヴィンダを讃えまつれ・・・)

 

Translated by R.Hirano


カウピーナパンチャカム(腰布を纏いたる者への5つの詩節)

 

ヴェーダーンタの奥義と 永遠(とわ)に戯れ
施しのみで満足し
悲しみなき心で そぞろ歩く
腰布を纏いたる者達は 実に幸いなり

 

唯一 木の根にその身を寄せ
両手ひとすくいの食物より多くを望まず
僧衣を纏わぬように 富をも拒む
腰布を纏いたる者達は 実に幸いなり

 

内なる至高の存在で満たされ
すべての感覚器官を安らかに鎮め
昼も夜も ブラフマンの幸福に憩う
腰布を纏いたる者達は 実に幸いなり

 

身体と精神を 移ろうにまかせ
真の自己を 自らの内に確立しつつ
内にも外にも中間にも限定されぬ
腰布を纏いたる者達は 実に幸いなり

 

清浄なる音オームを唱えながら
”我はブラフマンなり”と瞑想し
施しによって生き 自由に歩く
腰布を纏いたる者達は 実に幸いなり

 

Translated by R. Hirano

 

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