01/09/23(日)   ネゴシエイター

それは、木曜日のことでした。

朝、いつものように眠い目を擦りながら社内専用メールを開いたら、他の部署に所属する同期Aからメールが入っていました。

>件名:ふっふっふっふっふっ

・・・これが上司からのメールだったりしたらその場で転職を検討するところですが、まあ同期ならこれもありでしょう。
だが、いくらなんでも三十路男の書くメールの件名じゃないぞ、同期A。

なんだ?と思って開いたら、いきなり受信確認が飛びました。
受信確認?重要なメールか?

>やあ、昨日の夜はなかなか楽しませてもらったよ。「もっと焚木を!」。

ご閲覧、誠にありがとうございまちょっと待て(滝汗)

公開4日でいきなりかい!?

サイトでは、会社バレ対策とプライバシー保護のため、会社の同僚の前で披露したネタは使っていないし、ある程度5W1Hをごまかしています。
そんな簡単にばれるはずはないのに・・・。

い、いかん。動揺するな。
ここはメールを削除して来なかった振りを受信確認が飛んでるじゃん!
くそう、やられた。
仕方ない。知らん振りをしよう。

>何だ?それ。

しかし、同期Aから光の速さで追い討ちメール。

この話ってお前の体験談だろ?昔、俺に話してくれたじゃないか。

そ、そうだっけ!?(おぃ)

>このコンピューターセンターって@@社のだろ?

げっ、当たってる・・・。

>こんな経験をする奴がそう何人も居るわけないだろう。

確かに・・・。うう、どう言い訳しようか・・・と考えていたら、さらに追撃メール。

>で、「自分の手で付けてあげます」ってどういうことかな?

・・・・・・・・・・。

あっ、蝶々さん!蝶々さんが飛んでる!
うふっ、うふふっ、うふふふふふふふふふっ <現実逃避

>俺、寿司が食いたいなあ。

なにいっ!?

>できれば○○寿司がいいなあ。 (○○寿司:超高級寿司屋)

こ、このやろう。

ここでとぼけたとしても、皆にばらされるようなことはなかったと思います。まあ同期ですし。
というか、同期Aが昇進したので、お祝いに何か奢ってやる約束になっていたのです。元々。

奢ってやるのはいいけど、一方的にやられっ放しでは悔しいなあ。
何か反撃の糸口はないか・・・。おおっ、そうだ。

>「もっと焚木を!」は、まだ「兄貴の館」としかリンクしていないはず。
>つまり、お前は「兄貴の館」経由で「もっと焚木を!」へ来たわけだ。


実際は、この時点で他のサイト様にもリンクして頂いていたのですが、同期Aが気付いていない可能性は大です。

>つまり、お前は「兄貴の館」を相当の興味を持って閲覧しているということだ(−_−)
>奥さんがあの兄貴な背景を見たりしたら一体どうなるかな?(−_−)

同期Aの奥さんは会社の後輩だった元女性社員で、私とも顔見知りです。
夫婦兼用のメアドについうっかり「兄貴の館」URL付きメールを送ることも出来るわけです。

が、しかし・・・

>問題ない。夫婦揃って「兄貴の館」経由で来たから。

・・・・・・・・・・。

あっ、蝶々さん!蝶々さんが飛んでる!
うふっ、うふふっ、うふふふふふふふふふっ






結局、私は△△寿司で奢ることになりました。 (△△寿司:まあまあ高級な寿司屋)

○○寿司よりはコストを押さえましたが、同期にこのサイトについて色々と聞かれることになろうとは・・・ううっ、嫌だなあ。

あれ?また同期Aからメールだ。
まさかフランス料理にしろとか言うんじゃないだろうな。

>あ、寿司屋は夫婦で一緒に行くから。
>妻も「溝口先輩のサイトについて色々聞きたい」と言ってるし。






・・・・・・・・・・。




嫌あああああっ、それは嫌あああああああああっ(泣)

来週に続く


  01/09/25(火)   ネゴシエイター 2

午前、日曜日の更新を見た同期Aと社内専用メールでやり取り。

>まさかネタにするとは思わなかったぞ(汗

>サイトバレはネタ系の基本だし(おぃ)。
>でも、頼むからお前ら夫婦以外には内緒にしてくれ。洒落にならん(泣
 

>まあ、確かに洒落にならないし、黙っててやるけどさ。

>すまん。
>でも、他の同僚も実は見ていて、
「私も焚木を見ました」とか「△△寿司で食わせろ」とか
>大量にメールが来たらどうしよう(虚ろな目)


>そりゃないだろ。いくらなんでも(汗

結局、△△寿司へは木曜日に行くことになりました。
予定通り、夫婦で一緒に来るそうです。・・・やめてくれ(T_T)

やれやれ、こうなったら開き直るしかないか。
まあ、同期には私がオタだと薄々気付かれているし、何とかなるだろ(いいのかそれで・・・)


お昼休み、食堂から戻った私は午後の仕事を始めるべく社内専用メールを開きました。

ん?メールがたくさん・・・

・・・ま、まさか。

・・・まさか、ね。

ちらっ





>件名:俺も見た(笑)

>件名:ふっふっふっふっふっ

>件名:私も△△寿司で食べたいです

>件名:色々と聞かせてもらおうか、焚木のこと

>件名:溝口さんがそんな趣味の持ち主だったなんて


い・・・

い・・・

嫌ああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?(泣)

あああって、あれっ?





送信者:同期A  件名:俺も見た(笑)

送信者:同期A  件名:ふっふっふっふっふっ

送信者:同期A  件名:私も△△寿司で食べたいです

送信者:同期A  件名:色々と聞かせてもらおうか、焚木のこと

送信者:同期A  件名:溝口さんがそんな趣味の持ち主だったなんて


同期Aェェェェェェェッ!!

心臓止まるかと思った(泣)

木曜日、いよいよ対決。


  01/09/27(木)   ネゴシエイター 2.5

こんばんわー、溝口でーす。酔っ払ってまーす。

今日は予定通り△△寿司に行ってきましたー。(初めましての方はこちらこちらをみてねー。)

同期A夫婦と会ってきましたー。











他の人達とも会ってきましたー。



こんばんわー、溝口でーす。酔っ払ってまーす。

そのせいでしょうかー。何だか視界が曇っていまーす。

何だか涙が溢れていまーす。きっと気のせいでーす。



昨日更新が無かったのに酔っ払い文章でごめんなさーい。
明日は何とか復活しまーす。

なお、今日の詳細な報告は土日でしまーす。



でも、もしも明日いきなり閉鎖してい洒落になってませーん(;_;)


  01/09/29(土)   ネゴシエイター 3 (前篇)

木曜日、午後6時半。
都内某所にある△△寿司の前に、私はやって来ました。

カウンターの他に机の席も幾つかあるこの寿司屋は、そこそこの値段で美味しい寿司が食べられるので、ちょっと贅沢をしたいときに利用しています。
最初に来たのは会社に入って間も無い頃で、誰かに連れて来てもらったと思うのですが、いったい誰だったか・・・最近年をとったせいかちょっと思い出せません(汗

「おっ、来た来た。」

店の前では、諸悪の根源、同期Aが既に待っていました。
同期Aの奥さんで、会社の後輩だった元女性社員、Fさんも一緒です。

「うす。久しぶり、Fさん。」

「今日は宜しくな、溝口五位さん。」

「お久しぶりです。色々と聞かせてくださいね、溝口五位さん。」

「ハンドル名で呼ぶのは止めろおおおおおおおおおおっ(泣)」

くそうっ、Fさんはともかく、同期Aはいつか必ず酷い目にあわせてやる(涙)



実を言うと、サイトバレ直後はともかく、この段階では腹をくくっていました。

もともと付き合いの長い同期たちには私がオタだというのは薄々バレていましたし、同期Aが悪意を持っていたらとっくに会社中にバラされていたでしょう。
Fさんにしても、会社にいた当時を思い出す限りでは口の堅い人でしたし、もし嫌悪感を持ったとしたら私に会おうなどと思いはしないはずです。

まあ、散々からかわれ、根掘り葉掘り聞かれるのはまず間違いありませんが、そこはゲーム性・シナリオ重視なエロゲ好きのおっさんで通すよりほかありません。

・・・炎多留について聞かれたら、どうしよっかな(涙)



「さて、入ろうか。」

「そうだな。」

先頭を切って店に入ろうとした私は、ふと立ち止まり、同期A夫婦の方に向き直りました。

「ひとつ確認しておきたいのだが・・・」

「うん?」

「中で他の同期が待っていたりしないだろうな?」

「・・・・・・・・・・・・・・・まさか(明後日の方向を向きながら)

「帰るっ!!(泣)」

「すまんすまん、呼んでなんかいないって(汗」

まったくこいつは・・・と憤慨しつつ、私は△△寿司の扉をくぐりました。

「同期は、ね。」

・・・・・・・・・・。

ちょちょちょちょっと待てえええぇぇぇっ(泣)

にににににに逃げなきゃ・・・
ああっ!?既に入り口は同期A夫婦に塞がれているっ!

「いらっしゃい!」

「お店の方もああおっしゃってますよ、溝口さん。」

「ほらほら、駄目じゃないか、お店の入り口で突っ立ってちゃ。」

ひいいいいいいいいっ、止めてっ、許してえええええぇぇぇぇぇっ!!(泣)

・・・・・・・・・あれ? 
見知った顔、なし。

「あはは、冗談だよ、冗談。本当に誰も呼んでないって。」

お前という奴はっ、お前という奴はっ、お前という奴はっ!!(泣怒)



店の奥の席を陣取った私達は、寿司をつまみながら歓談。
すっかり忘れかけていましたが、まずは同期Aの昇進のお祝い。
そして、話はすぐに「もっと焚木を!」へと移りました(涙)。

ご多分に漏れず、二人とも「侍魂」をまず知り、そこのリンクからあちこちへ飛び、最終的に「兄貴の館」経由で「もっと焚木を!」へと辿りついたとのこと。

「まさかお前が「痛い系」サイトを開くなんて夢にも思わなかったよ。」

「ネタ系だ。痛い系じゃないって。」

「その年になってから始めた時点で痛いってーの。」

「ぐはっ!?」

「でも、「雪の夜」はよかったですよー。」

「そ、そう?あんがと(^^;;;;;;;;;;」

こんなこともあろうかとUPしておいた当サイト唯一のまじめなお話が功を奏したようで、なんだかんだいって二人とも好意的に見てくれていました。


「そういえば、最近立ちが悪いって? エロゲやりすぎで腎虚じゃないのか?」

「あ、それから溝口さん、ロリコンなんですか? それとも実はホモとか・・・だから結婚しないとか・・・。」

こ、好意的に・・・(泣)



そんなこんなで1時間もしたでしょうか。

話題は「侍魂」大ヒット以前の時代にも及び、「クリスマス死ね死ね団」、「痛いサイト選手権」などで盛りあがってきました。

というか、話題を「もっと焚木を!」以外に誘導。

よーしよし、このまま話題をそらして・・・。

「おお、やっぱり。さっきからどこかで聞いたような声だと思っていたら。」

「溝口君にA君。Fさんも一緒か。久しぶりだね。」

ぎょっと振りかえった私の目に飛び込んできたのは・・・

「専務!?それに・・・」

「部長も・・・お久しぶりです。」

「お、お二人とも何故ここに?」

「ここはよく来るんだよ。だいたい、君が新人のときに私が紹介したんじゃないか。この店。」

そ、そうでした。
うっわああああああああっ、なんてミス!

「ところでちらっと聞こえたんだけど、溝口君ってホームページ持ってるの?


・・・・・・・・・・。


あっ、蝶々さん!蝶々さんが飛んでる!
うふっ、うふふっ、うふふふふふふふふふっ


(後編に続く)


  01/09/30(日)   ネゴシエイター 3 (後篇)

確かに△△寿司に入るときには、同僚も上司も居ませんでした。
それで安心してしまいました。
同僚Aと、その奥さんであるFさんだけなら、と。

でも、よくよく考えれば、自分たちの後から同僚や上司やって来ることも有り得るわけです。当然。

阿呆です。

それにしても、よりによって専務部長とは・・・。



「いいじゃないか、どんなホームページか教えてくれたって。」<酔ってる

「いえ、そんな大層な物じゃありませんし(汗」

「けちだなあ。ははあ、さては人に見せられないような恥ずかしい内容なんだな。」<酔ってる

「いや、そんなことは(汗」 なくもないですが・・・(大汗

「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」

「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」


「本好きの溝口君のことだから、自作の小説でも公開しているんじゃないですか。ははははは。」<酔ってる

「いや、そんなことは(汗」 こんなものは公開させて頂いてますが・・・(大汗

「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」

「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」


透け透けブラウスの溝口君のことだから、ポルノ小説とかかな。ははははは。」<酔ってる

「そんなもの公開していたらくびですね、くび。ははははは。」<酔ってる

「いや、そんなことは(汗」 専務、すっかり「透け透けブラウスの溝口」なんすか、私・・・(滝涙

「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」

「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」


真面目な溝口君のことだから、企業告発とかしてたりして。ははははは。」<酔ってる

「おいおい、それは洒落にならないよ。本当にくびだよ。ははははは。」<酔ってる

「いや、そんなことは(汗」 すみません、部長。「真面目な溝口君」の本性はこんなんです・・・(汗

「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」

「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」


「ははははははははははははははははははははははははははは。」<酔ってる

「ははははははははははははははははははははははははははは。」<酔ってる

「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」

「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」

「・・・・・・・・・・・・・・・・(汗」



その後、一時間半に渡り専務と部長のおもちゃにされ続けた私は、すっかり酔っ払って家に辿り着くと、なんとかサイトの更新を済ませ、床につきました。

ふう。サイト持ちなのはバレたけど、サイト名はバレなかったし、なんとか大丈夫かな。

うう、眠い。酒が入ってるからぐっす・・・り寝れ・・・・・・る・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

プルルルルルルルルルルルルッ

な、なんだ!?
・・・携帯・・・ま、まさか。

「夜分失礼致します。XX社の溝口様でしょうか。私、@@社コンピュータールームのオペレーター□□と申します。トラブルのご連絡を・・・」



まだ酒が抜けきっていない身体を引きずりながら@@社に出向いた私は、結局、徹夜でトラブル対処にあたり、ぼろ雑巾状態でそのまま会社に向かいました。

辿り着いたときは始業時間ぎりぎり。課の同僚たちは皆すでに出勤しています。

「おはようございます・・・って溝口さん、ぼろぼろ(汗」

「眠そうだな。大丈夫か?トラブルだとは聞いてるけど、少し仮眠をとれば?」

「ありがとうございます。でもとりあえずトラブル報告書は上げないと。」

私はどっかと椅子に腰を下ろし、トラブル報告書を作成するべく作業端末を立ち上げました。

と、後ろからいきなりポンッと肩をたたかれました。

「おう、溝口君、おはよう。」

「あっ、専務。おはようございます。」

「なんだかずいぶん疲れて眠そうだな。どうした?」

「ええ、実は昨夜、帰宅した後にト

「もしかしてホームページの更新を頑張っていたのかい?程々にな。ははははは。」

「・・・・・・・・・・。」

ざわざわ・・・ひそひそ・・・

ざわざわざわ・・・ひそひそひそ・・・

ざわざわざわざわ・・・ひそひそひそひそ・・・

ざわざわざわざわざわ・・・ひそひそひそひそひそ・・・

「・・・・・・・・・・。」





「駄目ですね。やっぱり本名では引っ掛からないです。」

「YAHOO!って登録式だろ?Googleの方がよくないか?」

「会社名も駄目か。なあ、溝口、いいかげん教えてくれよ。」

「・・・・・・・・・・。」

「そんなに隠すなんて、何か変なこと書いてるんじゃないのか?」

「『侍魂』みたいなお笑いの日記書いてたり。」

「まさかぁ。はははははははははははははは。」

「本当だったら笑っちゃうよな。あははははは。」

「・・・・・・・・・・。」



あっ、蝶々さん!蝶々さんが飛んでる!
うふっ、うふふっ、うふふふふふふふふふっ


                         −完− お願い、終わって・・・(泣)



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