そろそろ雪が舞う寒い季節だなと思うようになると、自然に足が向く真冬の高原。暖かい陽が差す間は、あてもなく耕作地の中を走る道路を車でうろうろと小鳥を探してみるが、その姿はここ数年めっきり減り撮影する機会はとても少ない。
陽が高い昼間は、撮影の主目的の「森の賢者」は風が吹く荒れた耕作地の所々にある森の中でジッと寒さに堪えているのだろうと思いながら、太陽が南アルプスの尾根に近づき、空が橙色になる頃をゆっくりと待つ。
やがて山並みの淵がオレンジ色に輝き辺りが静かになる頃、森の淵にある遠くの木の枝にいつの間にか「森の賢者」は姿を現した。焦る気持ちを落ち着かせ、驚かさないようにそーっと車の窓にレンズを載せピントを合わす。フクロウが止まる木には枯れ葉が残り、背景のほんのり青紫がかった暗い森とのコントラストが美しい。手前の枯れ野を少し入れて構図を固定した。
夕方だから仕方がないがSSは1/10、距離があるのでISOは上げたくない。心の中でフクロウが飛び立たないことを祈りながら、ブレないようにゆっくりとシャッターを押した。その音が届いたのかフクロウはこちらを見た。さらに続けて5回シャッターを切った。するとフクロウはふわりと地面に飛び降り。やがて舞い上がると青紫色の森に姿を消した。(2009年1月記)
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