森の中に入ると枯葉がクルクルと回りながら落ちてきた。立ち止まり見上げると、いくつも舞いながら落ちてくる。木々たちは冬への準備を始めたのだろう。林冠はいくらか薄くなり少しだけ空が見やすくなった。
そう言えば、今日は鳥の姿を良く見ることができる。鳥の種類は特に珍しくはないが、アオジにムシクイ、アカゲラやアオゲラなど。森が葉を少し減らしたので、今まで藪や葉影に隠れていた鳥達が見易くなったのだろう。それでも、秋は始まったばかり、まだまだ緑は濃い。
水辺の近くに立っている一本のミズキに、動く鳥の姿を見つけた。秋の渡りの途中に立ち寄ったヒタキの仲間エゾビタキだ。ホバーリングしながらミズキの実をついばんでいる。
レンズを用意して待つてみたが、見ていると首が疲れるほど高いところばかりで、なかなか下りてきてくれない。目の前に鳥がいるのに撮影できないのはストレスが溜まる。
それでも、鳥ヤたるものしつこく待ってみる。するとミズキの隣にある、桜の木の少し色付きのある枝に一度だけ降りてくれた。背景は緑だし、可愛らし目線で鳥も振り向いてくれた。待ってみるものだ。
麓の森は数週の内に本格的に艶やかな時を向かえる。その頃には、ヒタキの仲間は居なくなるが、それに変わって冬鳥が見られるようになるだろう。今年こそ、その冬鳥と一緒に秋の彩りを同じフレームに入れてみたい。毎年の希望なのだけれど…。(平成21年10月記)
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