寒い冬になるといつも思うのだが、森の中で出会うカラの混群、その常連シジュウカラの背中の萌葱色のような黄色から薄いブルーグレーにかわるグラーデーションがとても美しいと。冬の曇り空の下だからか、その彩りはとても鮮やかに見える。可愛らしく、美しく、残したい姿の一つだ。
ある雪が今にも降りそうな冬の日。森の中で寒さに振るえながら鳥を待っていると、目の前をカラ類の混群が通り過ぎて行く。ヤマガラ、コガラ、ゴジュウカラ、それにシジュウカラ。どの鳥もふっくらと膨れて、小さな鞠のようにコロコロと転がりながら枝を渡って行く。
その可愛い姿を写したくて、レンズを向けるのだが、移動中の彼らは動きが素早く、ファインダーの中に捉えても、シャッターを押す前にその姿は何処かに行ってしまう。たとえシャッターを押せたとしても、ブレた姿しか写っておらず思うようなものはなかなか残せない。
シジュウカラが一羽、私の目前をまた通り過ぎようとしている。一瞬、若葉を包んだ赤い芽が並ぶ枝の上で立ち止まり、丸い目をこちらに捧げながら振り向いた。黄色からブルーに変化する背中のグラデーションがなんとも美しい。素早くレンズを向け、何も考えずにシャッターを2連射した。シジュウカラはすぐに次の枝に飛び移り森の中に姿を隠した。
シジュウカラの可愛い瞳を思い出しながら、どうせだめだろうと再生ボタンを押しカメラのモニターを確認すると一枚目に振り向いた姿が写されていた。一応ブレもなく、振り向いた姿が私的には素敵に思える。もちろん、実際に見た姿はもっと美しく可愛らしかったが、今日はこれでいい。もっとは、次に出会う時の楽しみにしよう。(平成21年1月記)
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