春到来。陽の光がそう言っているかのように、暖かで明るい陽射しが干潟に降り注いでいる。キラキラと輝く、波が引いたばかりの砂浜をシギたちが忙しそうに動き回る。ほとんどは、ここで冬を過ごしたハマシギたちで、その中に、ミユビシギやダイゼンが混じっている。
時々、何かの拍子で、群れの誰かが驚くと一斉に空を駆け始める。その姿は一つの生き物のようになり、うねるように飛ぶ。
少し沖を、鳥の一群が海面に沿って並ぶように飛んでいる。白と黒の身体に、明るいニンジン色の嘴と同じような色の目をした、ミヤコドリだ。ミヤコドリは干潟に降り立つと、ニンジン色の目をキョロキョロさせながら、ニンジン色の嘴で干潟を突きだした。その姿は何となくユーモラスに見える。
一羽のミヤコドリが、貝の塊を突き始めた。手前の干潟を多く入れて構図を決めシャッターを押した。青灰色の春の干潟に、鮮やかなニンジン色が踊っていた。(平成22年3月記)
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