沈む直前の太陽の光りがレンズに入り、蜜柑色の霧がかかったように、ファインダー内を染め上げる。その中を、輪郭が光るコミミズクが舞い、なんとも美しく幻想的な風景を創りだしている。
コミミの姿をレンズを振り捉えながら、カメラのダイヤルを回し露出を一目盛り上げ、ちゃんと撮れますようにと祈りながら、シャッターを押した。何枚かのカットに、まあまあ見れるコミミズクの姿が写っていた。
もう何年経っただろうか、直ぐ側の堤防の上で、気の合う友人とカメラを並べ、談笑しながら同じようにコミミズクの撮影した時のことを思いだした。あの頃は、何も考えずに、夢中でコミミズクにレンズを向け、そしてシャッターを押していた。純粋に撮影がとても楽しかった。
あの頃と比べると、世の中も鳥見の世界も、そして私の周りも随分と変わってしまったが、コミミズクは、あの頃と同じように、堤防を飛んでいる。そんな、変わらないコミミズクを見ていると、年がら年中、何か新しい変化を求めている人間とは、つくづくせっかちで、飽きっぽい生き物なのだろうと思ってしまう。
出来るなら、いつまでも変わらない、コミミの可愛いい姿を見ていたい。私を含め、人間の変化を求める気持ちが、コミミを変えてしまうことがなければと願う。コミミを撮影することができる間は、きっと世の中は、幸せに違いないはずだからだ。(平成23年2月記)
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