暑い焼けるような陽射しが容赦なく降り注いでくる。身体中から水分が抜けるのではと思う程、汗が吹き出しTシャツの胸の辺りをグッショリと濡らす。息を止めてファインダーを覗きコアジサシの巣の中の可愛いい雛にピントを合わせていると気が遠くなりそうになる。
図体のデカイ人間がこんなに辛いのだから、目の前の小さな命は果たして大丈夫なのだろうか、日傘でも差してあげたくなってくる。親鳥も暑いのだろう、口を開けて荒い息をし暑さに耐えながら、小さな雛を陽射しから遮っている。雛もそんな愛情に包まれているから元気なようだ。海から帰ってきた親鳥を鳴きながら迎え、透明な小さな魚を夢中で口に頬張っている、これなら大丈夫そうだ。
可愛い雛のことは安心できたが、撮影はと言うとさっぱり駄目だ。何故なら、太陽に熱せられた浜辺から立ち昇り揺らぐ陽炎が邪魔になり、いくら撮ってもボーッとしたピンボケのコマが量産されるばかりなのだ。
浜辺の親子はどうにも写真にならないので、飛び立った親にレンズを向けてシャッターを切った。すっきりとしたCOOLなコアジサシの飛翔姿は夏によく似合う。碧い海と夏の空をバックに、白い翼が眩しいく夏色に輝いていた。(平成22年8月記)
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