これから向かう山の頂付近は、白い柔らかな花が咲いているように見える。枝に積もった雪が山を化粧しそう見せているのだろう。それは、高度を増すにつれ間近になり、やがて見えるもの全てが美しい雪の華で覆われ始めた。
横道の狭い林道に入ると、雪は深さを増し、運転に慎重さが求められたが、雪景色が余りにも綺麗なのでそれに目を奪われ、所々でハンドルを大きく修正する羽目になった。そんなことを繰り返し道を進んでいくと、可愛らしい鳥の鳴き声が窓の外から聞こえてきた。
枝と言う枝は全て氷に包まれ、その上には雪が積もっている。その美しい枝の上を時々跳ねるように、小鳥たちが行き来している。鳥の種類はお馴染みの、コガラにヤマガラ、シジュウカラなどだが、撮らない手はない。何せ美しい雪景色の中なのだから。
春が近いこの時期、せっかく積もった雪の華は、風が吹き、気温がほんの少し上がれば跡形もなく消えてしまい、山は再び冬の枯れた色気のない風景になってしまう。ほんの一時の稀な美しさ。そんな日に鳥達と過ごせることは、とても幸せなこと。鳥見がいつもこうならいいなぁと思うのだが、大抵は寂しい結果になってしまう。ヤマガラがニイニイと鳴きながら斜めの枝に止まった、ブレないように慌てずシャッターを数回押した。雪景色の中に、首をかしげた可愛らしいヤマガラの姿が映えていた。(平成22年2月記)
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