夜中に車の屋根を叩いていた雨音は消え、光が差す前の青暗色の森から、鳥たちの朝の挨拶が聞こえてきた。朝霧に包まれて潤い、そして清々しい朝の空気を伝わり耳に届くその声は、森の木々にこだまして、独特の響きが加わったようにも聞こえる。気持ちを爽やかにしてくれる朝らしい音色だ。さて、そろそろ森へ出掛ける時間だ。
この森は、北国に近い山裾に広がっている。だから、芽吹きは遅く、木々の枝には柔らかな葉が茂りはじめたばかりだ。若葉は朝露に染められ、一層若々しい色を放っている。少し森を歩くと、朝一番早くから賑やかに鳴いていたアオジの姿を見つけた。冬よりも鮮やかに見える若葉色の羽毛を纏い、美しい声を森に満たしている。今日最初の一枚は、このアオジの囀りに決めシャッターを押した。
野鳥の囀りを聞くことが出来る夏の繁殖期のわずかな間に、なるべく多くの野鳥に出逢いたい。そして、元気いっぱいに囀る姿を写しておきたい。いつまでも鳥たちの歌声が森を満たしてくれることを願いながら。(平成22年6月記)
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